HAPD 取り付け完了の ARICH

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ARICHの製作が進んで、HAPDの取り付けが終わったというので写真を撮らせてもらった。綺麗な写真なのでいつもより大きめにしてみた。
60度毎の対称性があって、432個のHAPDが取り付けられている。アルカリ金属でできた光電面が黄土色に光っていて実に壮観。
このHAPDは一個100万円くらいはするだろうから、この検出器にどのくらい金がかかっているか分かるというものだ。
当たり前だが、ARICHは光検出器では成り立たないので、432個のHAPDからの62208ch分の読み出し回路と、HAPDに8kVの電圧を供給する電源もいるし、手前側にはアエロゲルの輻射体もある。
まだ、光検出器が付いただけなのでこれから読み出し回路を取り付けて、テストしないといけない。おそらく、1/6くらいはつながっていると思うが、何しろ、お盆までには完成していないといけないので、余裕は全くないはずだ。

27th Belle2 Open Meeting (2) ECL パラレル

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今日は朝からECLのパラレル。最初はTriggerと合同セッション。最近盛んにCDCとともに宇宙線をとっているので問題ないのかと思いきや、細かい問題はあるらしい。今は宇宙線用の簡単なtriggerは出せるようになっているようだが、本番用のtrigger logicはまだできていないようだ。
ECLの方は主にsoftwareの話し。Forwardのinstallationに興味のある人はいないのでほとんど話題にも上らない。放っておけば誰かがやってくれるだろうという感じ。対照的にsoftwareの方はいろいろとstudyがすすんでいて、いろいろと凝った reconstruction のアイデアがたくさん出ていて感心する。
途中で phase2 の間、約22週間あるらしいのだが、シフトを組まないとね、という話があって、どうなるものかと見て(聞いて)いたら、皆さん協力的で安心した。私とロシア人にすべてをまかせて日本には誰もこない、なんて事になったらどうしようと思ったが杞憂だったようだ。

27th Belle2 Open Meeting

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今日から金曜日までは第27回のB2GM。
例によって初日の午前の前半はPlenary。
少し出遅れたら、もう座る場所が無かった。後の方に夏の学校で見た顔があったので、修士の学生さんも参加されているようだ。席がなくては仕方ないので、KEKにいるのにビデオで参加。
午前はいつものようにBelle2, KEK(金), 加速器のstatus report。たいがいはここで、スケジュールが遅れると言うことが知らされるのだが、今回は、変わらず。いろいろと問題はあったのだが、24/7働く等頑張って、スケジュールは保つということらしい。なので、何もなければ9月にEndcapの据え付けが予定されることになりそうだ。
明日は一日ECLのパラレル。

ECL取り付け金具

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Endcap Calorimeter の取り付け金具には問題が多くて苦労したのは既に書いたが、Forward endcapはそれよりもっと悪い。金具を取り付けるネジが回せないことに加えて、毎回 Endcap を引き出す度に位置調整をする必要があって手間がかかる。なので、取り付けを前に金具を作り替えてしまおうと思っていたのだが、うまいこと上記二つの問題を解決するような構造を思いつかず放置していた。諦めかけていたのだが、私以外の人ならいいアイディアが浮かぶかもと思って工作のエンジニアリング支援に相談してみた。
外注するであろう業者を呼んで相談するというので、筑波から重い金具を持ってきて、相談。いろいろと話しているうちに画期的な方法を思いついて、それを元に検討してもらうことになった。
同時に概算で費用を計算してもらうのだが、思っていたよりずいぶんと高い。この金具を取り付けるのはたった一度なので、ネジを回せない問題の解決に使える金は自ずと決まってくる。もうすぐ費用の概算が上がってくると思うが、ボツになりそう。

鉛シールドの試験

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先日半分だけテストしてうまく行かなかった鉛シールド。設計したカナダの学生に報告して、どうするか相談したところ、B2GMには来れないがその前なら来れるというので、きてもらって一緒にテストすることに。
やり方は簡単で、取り付けようの茶色い治具をつけた状態で鉛シールドは置いてあるので、そこにエンドキャップ引き出し装置の半月板を持ってきてちゃんと穴があうか確認する。
現場で試したときには1-2cm位ずれていたので合うわけないだろうと思っていたら、意外なことに穴の位置はほぼ正確にあった。実際には微妙に位置がずれているのでネジは締められなかったのだがこの位なら現場で何とかなるレベル。
前方もやってみたところこちらもほぼ同じような塩梅で、ネジははまりそう。
では、なぜ前回のテストの時あんなにずれていたのかが良くわからないのだが、とりあえず、シールド自体には問題がないことは分かった。その後、実際に取り付けるときに危惧している点(吊り難い点や穴に調整シロが無いこと等)を指摘して対策を教えてもらい作業終了。カナダからわざわざきてもらったのに3時間くらいでやることが無くなってしまった。若干申し訳ない気がしている。

前方Endcapカロリメター筑波へ移送

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ロールインして筑波のB4の床が広くなったのでさっそく富士からForward Endcap を移送した。
運ぶものが重い(7-8t)ということを除いては大して難しくもない作業なので、特に問題なく進んだ。
トラックに載せて移送している時に筑波山を背景に写真を撮ろうと頑張ったのだが今ひとついい写真が撮れなかった。
カロリメター本体を運んだ後は、ケーブルとか、治具を運び、富士と筑波を合計2往復。私が責任者ということで、無駄無く作業を進めたので、1時に始めた作業が4時には終わった。
無事終わってめでたい。明日は乾燥空気の配管。

エンドヨーク閉まる

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今日は午前中は昨日やり残した後方側のエンドキャップ引き出し装置下部の取り外し。昨日前方をやったので少し慣れたが、それでも、非常に困難な作業なのは間違いない。
左下は架橋に当たるギリギリまで寄せて上げようとしているところ。右上は作業中のクレーンのフックの様子。エンドヨークのガイドがクレーンの邪魔をしているのがわかるだろうか。これをよけながらQCSに当たらないように吊ろうとすると、余裕は5㎝くらいしかない。
何とか約束の午前中に引き出し装置の取り外しは終わり、午後からはエンドヨークを閉じる。
QCSが前進した状態で閉じるのは初めてなのでクリアランスのきついあたりを見ていたのだが、途中厳しいところがあって1㎝くらいしか隙間がなかった気がする。そこは閉じてしまえば隙間の大きいところなので、あやまってケーブルをつけたりすると痛い目にあいそうだった。
左下の写真は後方B側のヨークが閉じたところ。図面で見ているのと同じようにQCSが収まっている。右下はヨークが閉じた後方側。ようやくかつてよく見た状態に戻ってきている。
明日からはBelleソレノイドが励磁される。

Endcap引き出し装置撤去作業

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鉛シールドの取り付け試験は終わったので、ソレノイド励磁に向け、Endcap 引き出し装置を撤去していく。
最初に昨日つけた半月板、次に引き出し装置上部(左上)。とりあえず狭いので作業性は最悪。クレーンの動きがとてもトリッキーで疲れる。何とか午前中に前後方四台分はずし終えて、保管場所に並べるところまで行った(右上)。
私はクレーンを操作しているので、普段は写真をとるために作業を止めたりするのだが、時間の余裕が無いのでそういう訳にもいかず、写真が少ない。
午後からは引き出し装置下部(左下)。上部より大きいのでさらに大変。QCSに当たらないようゆっくりと、立体パズルのようにかわしながら運び出す。あまりにギリギリを通すので、監視カメラで見ていた電磁石グループの人が心配になって見にきた。それでも、前方の二台分を取り外して保管場所に並べるところまできた。
明日、午前中に後方の分を外せば午後にヨークを閉められるだろう。何とか間に合う気がしてきた。

後方鉛シールド取り付け試験

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先日送られてきた鉛シールド、後方側は今引き出し装置がついているので、取り付けの試験が出来る。なので、引き出し装置の取り外しを一日延期して取り付けのテストをすることにした。
最初に半月板を取り付け(左上)、半割りにしたシールドに茶色い治具をつけてクレーンで吊り(右上)、半月板に取り付ける(左下)。と書いてしまえば簡単そうだが、障害物が多いので作業は大変。片側つけたところで時間が無くなったので、半分で撤退することにした。穴の位置を確認するために引き出し装置を前進したところが右下の写真。半割りになっているシールドのつなぎ目部分はセンターに来ないといけないのだが2cm位左によっている。当然ながら穴はあわない。
どこかの寸法を間違ったということだろう。
設計したのが誰かは知らないが、あまりにセンスの無い設計。というのも、すべては『正確』に作られているようで、穴に余裕が無いし、位置の調整機構もない。鉛を使っているので結構な重量物のわりには吊り方が考慮されてないし、失敗するべくして失敗したという感じ。
ここから学び取って次はもう少しましなものを作っていただきたいところ。
あまり、時間をかけていると、予定どおりにヨークを閉められないので直ちに取り外した。
明日から引き出し装置の取り外し作業。

ECL鉛シールド荷受

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エンドキャップECLとQCSの間の隙間に入れて放射線を止める鉛シールド。昔使っていたものは外すなり捨ててしまったのだが、Belle2では、大きさはそのままに鉛とポリエチレンの二重構造にすることになった。カナダが担当ということで製作して送られてきたのが今日届いた。こっちの担当は私では無いのだが重いもの担当なので荷受けを手伝う。
箱に入って届くと思ったらパレットに乗ったむき出しの状態で少々驚いた(左上)。これならフォークの方が簡単だろうということでフォークリフトで降ろしたのだが、私の運転がへたすぎて若干怖かった。
とりあえず搬入口の床においてクレーンで下に降ろす。右上の写真が前方用。これを吊るのが一苦労で、パレットのまま吊ろうと思ったら、パレットがボロボロ過ぎて怖くて吊れない。次にシールドのみを吊ろうとしたら連結部分がヤワで壊れそうだったのでこれも断念。結局元に戻して、パレットに足場パイプを入れて吊る事になった。
B4では吊り上げてビシャモンに載せ替え(左下)、所定の位置に置く(右下)。
右下の写真のシールドの内側の薄紫に見える部分が中性子用のポリエチレン部分。
取り付けのテストをやりたいらしいのだが、後方は気合があれば出来無くはないのだが、日程がちょっと難しい。

b→sll anomaly 研究会 @ 東大

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LHCbから最近発表された B->K*ll で Lepton Universality が破れている?という発表に関して行われた研究会。LHCつながりということでなぜか東大のATLASの人の主催。
発表のスライドを見て軽く論文を読んでいたのだが、今一つ理解できてなかったが大体どういうことなのかは分かった。
問題のAnomalyだが、B->K*ll event の q2 の小さいところ、J/Psi より下の領域のイベント数をmuon と electron で比べると muon の方が有意に少ないという。実は2014年には B->Kll で同じ解析が行われていて同じように muon が少ない。SMでは、質量以外にleptonの種類を区別しないので、基本的に崩壊比(event数)は同じになるはずなのだが、なってないので lepton universality が破れている。なら、新物理があるはずだ!ということらしい。
発表を見ていると突っ込みどころは満載で、muon channelのq2分布がそもそも理論と全然あってなくてq2の低いところでは理論の予想よりとても少ない。次に electron channelはイベント数が少ないということで q2 分布を見せていないから、同じようにあってないのか確認できない。予想より多いと書かれているだけで情報がないし、そもそも統計誤差が大きいのではっきりしたことは言えない。
まとめると、単にmuonが少ないという状況で、統計的にはっきりしない electronと比べ lepton universality が破れていると空騒ぎしているという印象。
統計の多いmuon channelの様々なモードのすべてで q2 分布の低いところが予想より少ないので、ある意味 consistentなのだが、それが物理なのか検出器なのかはよくわからない。普通に考えると検出器の効果をうまく見積もれていないということだろう。
これを説明する理論の話もあったのだが、あまり、世の中にご利益を与えそうなものはなかった。
Belle2でこのanomalyに関して何か意味のある解析ができるようになるのは3-4年かかるので、取り敢えずはLHCbの統計を上げた結果を待つことになるわけだが、muonの方の結果は変わらないだろう。

共同通信に記事が載った。ほとんど内容がないがあのグダグダな研究会を見たらこの程度の記事しか書けないだろう。

QCS前進も磁場測定装置当たる

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連休明けの今日から磁場センサーのついたQCSを運転位置まで前進させる作業。
特にやることは無いはずなので見物に行ったのだが、ひどい目に合った。

上段左の写真は磁場センサーのついたQCSR(前方側)。先端部にごちゃごちゃついているのがBelleがつけた磁場センサー。ビームパイプのように伸びている金色の管は加速器の人がホールセンサーを通すための穴。
上段右の写真が前進している所。
ある程度までは電動で前進させるのだが前方側はクリアランスが非常にタイトというので見ていると、入りそうな気がしない。
中段左の写真で上の方に見えている銀色の構造物はBelle側についていて、下側の磁場センサーのコネクターが当たってしまっている。外してしまうとそのセンサーは読めなくなってしまうのだが、入らないのでは仕方ないので、コネクタを外してしまう。ここは何とか入ったのだが、他にも同様にきついところが何か所もあって途中で断念。
引き出してみると至る所に当たっているところがある。中段右の写真はコネクタ部分が当たってしまいケーブルが断線したところ。芋づる式につながっているのでこのままでは全チャンネル読めない。下段左はコネクタ部で壊れてしまった磁場センサー。一応四人で見守っていたのだが、当たるところが多すぎて防ぎようがなかった。
この他にも構造物が当たってしまったり、ケーブルが通らないように配置されていたりと、すがすがしいまでのダメさ加減。
仕方なく一旦撤退。壊れたケーブルを直してもらい、当たってしまう構造物は何とか外し、ケーブルをギリギリ通りそうなところに配置して再挑戦。
ファイバースコープでケーブルが押しつぶされないか確認しながら前進させて何とか所定の位置まできた(下段右)。
QCSは物理的には入った。前方部とバレル部のケーブルは読めなくなっている可能性があるので、すぐに磁場測定装置が動くのか確認したいのだが、驚くべき事に、磁場測定装置の人が誰もKEKにいない。こんな微妙なところに検出器をinstallするのに現場に人をおかないなんてちょっと信じられないが、もはやどうしょうもない。
ドイツの人と連絡を取ってやり方を教えてもらい今晩テストするそうだが果たしてうまく行くか?
壊れていた場合明日の朝一度だけ直すチャンスがある。それを逃すとせっかく用意したセンサーが無駄になる。

ECL引き出し装置設置とBelle2アンカーホール固定作業

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今日は昨日の続きのECL引き出し装置の設置と20日に失敗したBelle2固定作業のやり直しの二つの作業が同時に走る。
引き出し装置の方は昨日入らなかった穴を広げてもらい(左上)、再挑戦したところ無事すべてネジが入った。右上の写真は引き出し装置を目一杯下げたところ。5cm位はみ出して後ろに下げられるようになった。この5cmがどのくらい大事かはこの写真を見ればわかる。この時は本当にギリギリで擦りながらだったので、この5cmで少しはましになることを期待する。
引き出し装置がついたので足場の方針を話し合って作業してもらっている間にモルタル打ちの方を見る。
前回の失敗はモルタルの粘性が高いのと、モルタルを運ぶチューブが細く弱かったのが相まって、抵抗が高まりモルタルがうまく流れなかったのが原因。今回はモルタルを粘性が低いものに変え固まるのに時間がかかるだけで強度は変わらない)、配管を頑丈なものにしてもっと圧力をかけても大丈夫なようにした。写真左中が新しい配管でより高圧に耐えられるもので先端は金属管になっている。右中はそれを設置したところ。開放されている側にポンプからの管を接続する。
いつものようにモルタルが規程の粘性で練れているのを確認したのち打設開始。穴は隠れて見えないので、鏡とファイバースコープを使って確認するのだが、確認するまでもなくボタボタとモルタルが流れ落ちる音が聞こえてきたので一安心。左下の写真はファイバースコープに映ったモルタルが流れている様子。モルタルには粘性があるので上面は水平にはならないが管の出口の側があふれそうになるくらい入れると反対側が2-3cm下になるという感じ。
一旦練り始めると休めないので4箇所続けて打設。1時間とかからず作業終了。
足場の方は順調に作業が進み右下のように立派な作業環境が作られた。
これで、今回の私の出番は終わり。
明日からは磁場測定装置の設置作業を見物させてもらう。

ECL引き出し装置設置作業

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昨日の続きで今日は引き出し装置上部を取り付ける。
まずは後方から。下部と同じでまわりに色々とものがあるのでクレーンの操作が難しいが、それ程問題なく終了(左上)。
前方は上部を取り付ける前に下部のまわりに足場を組む。磁場測定装置の取り付けはこちらで作業するので、引き出し装置の両側に、鉄製の台を持ってきて(右上)、高さを合わせて足場を組んでもらう。後でも出来るが、我々の作業も足場があった方が安全なので先にやる。落下防止に手すりもつけてもらう。
立派な足場が出来たので前方の上部を持ってきたのだが、下部のレールについているリニアガイドの穴と、上部のそこに開いている穴の位置があわずネジが入らない。左下の穴の左から1列めと3列目は何年か前に新しく開けてもらった穴なのだが、工作精度が悪くずれていたようだ。諦めて元に戻し、明日修正を試みてもらうことにした。
その後、後方に落下防止の手すりをつけてもらって今日の作業は終了。右下の写真は今日終わった段階での前方の様子。右側の駆動装置が未設置。
明日は、穴の修正後駆動装置上部取り付け。その後、前方のCDC端面にアクセスするための足場設置。その後後片付け。

ECL引き出し装置下部取り付け

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今日から3日間衝突点付近の磁場を測定する装置の取り付けの準備。VXD据え付けの練習も兼ねているので、ECL引き出し装置を使う為、それを取り付ける。
ロールアウト位置だと気軽なのだが、ロールイン後は狭いし、QCSもあるのでクレーンの操作には気を遣う。まかり間違ってQCSをこわしてしまったら実験が年単位で遅れてしまうのでクレーンの操作は慎重に(左上)。右上の写真は引き出し装置下部を降ろしているところ。隙間が少ないが、これでも架橋を削ったので広くなった。
今日一日で下半分は両側ついて、その上に足場板を敷いたところで終了。
明日は引き出し装置上部の設置と足場組み。

Belle2固定作業 (1)

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ロールイン後の位置調整が終わった後、測量を加速器のマグネットグループにやってもらっていたのだが、その解析結果が出て、昨日ミーティングが行われた(左上)。Belleとしては指定された座標に置いているわけだが、最終的には加速器の一部としてのソレノイドの軸の傾きとか、QCSとBelleの相対位置とかが問題になるので、加速器の人に最強の測量機器で測ってもらい納得していただくのが一番。ここで、問題が出るとまた位置調整し直さないといけないので結構ドキドキしていたのだが、結論としては、この位置で固定してよいという判断。規程の0.5mmよりはずれているところがあるが、その影響はopticsで吸収可能だろうとのこと。Belle側の測量結果とマグネットグループの測量結果を比べるとずれている方向にあまり相関が無いそうで、おそらくBelle側がずれていると思っていたのはほとんど測定精度だったのだろう。それでもほとんどの測定点で0.5mm以下のずれだったのは奇跡とも言える。
ともあれ、これで、晴れてBelle2を固定できることになったのでモルタル打ちの作業。
右上はロールイン前に撮ったアンカーホールの様子でホースが穴に固定されているのがわかる。
左下が持ち込まれた機材で、右後の方に写っている漏斗みたいな奴に練ったモルタルを入れるとその手前に置いてあるポンプでホースに送られるという仕組み。右下の写真がモルタルを流し込もうとしているところ。
この方法は全く同じセットアップを作って工場でテストしてきたというのだが、モルタルの流れが悪い。ホースが膨らむのみでモルタルが流れ込んでいる様子が無い。そうこうしているうちにポンプの圧力に負けてホースが外れてしまった。どうも、穴に注ぎ込むところのエルボのあたりで抵抗が高くなっているようで、つまってしまったようだ。
一旦止めてしまうと、もはやホースがつまってしまい、この流し口は使えない。今日は撤退して後日再挑戦ということになった。
思わぬトラブルというのは起こるものだ。

ロールイン後の作業 (2)

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昨日の最後の測量の結果わかった測量のシステマティックを回避する工夫をしてもらっている間に、ピンを仮止めしてあるアンカーホールに下ろす。
下ろすのは油圧システム(左上)で、あまり乱暴に下ろすとその勢いでBelle2が動いてしまうかもしれないので圧力を下げてゆっくり下ろす。
ピンが出てくるところ(ハカマと呼んでいる)には作業員を配置して様子を監視してもらう(右上)。
写真中段はピンが出てくるところで左からピンが出ていない、テーパー部分が出ている、完全に下りきった状態。下りきった状態だと、アンカーホールのテーパーに当たるので、穴は全く動かなくなる。位置さえ決まっていればこの状態でモルタルを流し込んで固定することになる。
この状態で測量をしてもらい、システマティックこみで見ても、B(ビーム)側に少し行き過ぎていたので最後に0.2mm程戻してもらい、その位置でBelleを床に固定(左下)。
最後の測量の結果を見て(右下)、ベストは尽くしたということで位置調整は終了。加速器の電磁石グループに引き渡す。彼(女)らはFAROのレーザートラッカーシステムを使って、筑波直線部を広範囲に測量して、加速器としてBelleの位置がどうずれているのか、教えてくれることになっている。
その結果問題無ければ、そのままモルタルで固定、問題があれば、再度位置調整することになる。平行移動はそれ程難しくないことがわかったので、一日あれば、希望の量動かせるだろう。
加速器が測量している間しばらくこちらの作業は無いので少しはゆっくり出来そうだ。

ロールイン後の作業 (1)

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ロールインが終わってさっそくロールイン位置での測量と位置決めを行っている。
Belle2のロールインしたときの位置は回転作業をしたときに測ってあって、基本的にはレール方向の位置さえ決めれば元に戻るつもりになっていた。
しかし測量の結果が芳しくない。問題点は
1) 全体にD側へ1mm程ずれている。
2) 複数の場所からおこなう測量が内部inconsistent
回転作業のときには測量はうまくいったので楽観していたのだが、想像以上に作業環境が悪いようだ。見込みが甘かった。
信頼できる測量ができないとどうしようもないので非常に困る。
1) の全体にD側へ寄っているというのは、そういう目で見ると、レールと台車のガイドの隙間がすべて片側に寄っている(左上)のでもそうかなと思えるし、測量結果もほぼ全ての結果がD側へ寄っていることを示唆しているので、定性的にはD側にずれているのだと思われる。
2) については壁に見える既知点があるのでそれを測量してもらい、システマティックなずれがどれくらいあるのか確かめてもらう。
それと同時に、動くかどうかわからないが、床とBelleの間にジャッキをかけてC側に押すことにした(右上)。ずれた分はセンターピンの押しボルトを回して即座に戻らないよう固定する(左下)。この時の変位量はBelleと壁の間にダイヤルゲージをつけてモニターする。
Belleを押す作業の方は、案外動くもので1.5時間くらいかけて0.5mm位動かせた。ダイヤルゲージを見ながら1400tのBelleを10um単位で動かしていくという作業は、やっていても、普通じゃないというが感がある。
動かした後のBelle2を測量してもらうと、きっちり動かした分だけずれたので、測量の再現性は高いことがわかる。既知点の測量によるとやはりC-D方向にオフセットがのっている傾向が見えているので、定性的には色々な事が理解できてきている。
しかし、定量的な事を求められる精度で言うのは現段階ではかなり困難。
困った。

ロールイン作業 測量と位置調整

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大体の位置に来ていて、ターゲットも見えるようになったのでさっそく測量(左上)。ここからの作業の方が、ただ力任せに引っ張ればいいロールインなんかよりも100倍難しくて重要だ。うまくいかないと実験のスケジュールが遅れることもあり得るので非常に気が重い。
測量作業だが、ロールインしてしまうと測量器を置ける場所が限られてターゲットが見えない、あるいは見えても測量器を覗きにくくて視純が難しいということが多い。予想されたことだが実際困難そうだ。
結果はExcelで即座に目的の座標と比較されるので(右上)それを見て移動させる量を決める。
今日はとりあえずレールの向きの移動だけと決めたので、その向きへの変位量の平均値を出して、その分を仮固定に使った手動のジャーナルジャッキを使ってゆっくり動かしていく。実際に動いている量は床に固定したダイヤルゲージで見てストップをかける。ダイヤルゲージ(左下)の表示は一周1mmで10um位の精度では測れる。1400tのものを10umで測るというのは結構クレイジーだと思うが、それくらいの気合でやらないと位置合わせが出来ないということ。
これで、一応レール方向は正しい位置付近に来ているはずで、他の方向は基本的には回転したときを再現するはずなので、ここに仮固定して、慎重に測量してもらう。
右下はその結果を吟味して明日の作戦をたてているところ。
明日も測量と位置調整。それと同時に、ロールインに使った機材の搬出。

ロールイン作業 エンドヨーク開け

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午後からはまずエンドヨーク開け。すぐに開けるのはニコ生に見せるためではなく、測量をするため。エンドヨークを開かないとBelleに設置されている測量のターゲットが見えないからだ。
エンドヨークを開ける作業は何度もやっているので大したことは無いはずなのだが、問題が発覚。放射線の遮蔽物をかつての壁の前に積み増したのだが、エンドヨークを開けるためのハンドルを回しにくくなってしまった。写真左上の緑色のところがBelle2の台車で右に見えるのがコンクリートその間の狭いすき間にハンドルがあって、回しにくいことこの上ない。
幸いなことにこっちは100-200回くらい回せばいいので何とかなった。回しやすい場所では交代でハンドルを回してヨークを開ける(右上)。前にも書いたが、私は作業員に混じって回させてもらい、合計して一枚分くらいは自力で開けた気分になるようにしている。
左下の写真は前方側が開いたところを下の方から見上げるようにして撮った写真。
全部開いたら、一応ロールイン作業終了ということで、ニコ生の人に作業終了をわかりやすく表現するため何かしてくれと言われていたので、それを兼ねて記念撮影。皆さんに前方側架橋に上がってもらい、私がB2回廊から(右下)。
ここでおよそ15:00。

ロールイン作業

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ロールインはニコ生で中継されたので見られた方も多いと思うが、実は私は現場にいたのであまり何が中継されていたのか知らない。
想像だが現場側はあまり映らなかったのでは無いかと思う。基本的に現場は危険なのでカメラの人に入ってもらうというのは色々な面から難しい。
現場に出る人は8:30に集まって打ち合わせ(一段目左)。急遽貼ることに決まったBelle2/SuperKEKBの建設に携わった企業の社旗は最終的にはKEKのものもあわせて写真の用になった。
現場では仮固定していた板を外して、各所に人が配備されたら基本的に準備は完了。一気に引くのではなく1400tの重量が移動することによる床の変位を測量するため途中5m,7m,9m,11mのところで一旦止め最後約13mの目的地までいく。
ロールインのトリガーはジャッキのコントローラーのところ(二段目左)でやるのだが、私は職権を乱用して、一度スタートのスイッチを押させてくれとお願いした。そうしたら、記念すべき最初のスタートをやらせてもらう事になった。二段目右の写真がその瞬間で、ボタンを押しているのは私の手だ。実は2013年にBelle回転のためのロールインをやったときにも、油圧モーターのボタンを押させてもらった。実は私は手動のジャッキでBelleを動かしたこともある(今日も動かした)し、Tilforでも引いたことがある。Belleの物理屋はたくさんいると思うが、4種の違う方法でBelleを動かした人は私だけだろう。下らない自慢だ。
ロールインと測量は非常に順調で予想通り昼前には最後の測量を終えた。ここで、張力計を外してジャッキの引き代を増やす(三段目左)。この写真の一段目右と比較すると引き代が増えているのがわかる。ここまでのところ最大張力は9.55t(三段目右)。
最後はジャッキのコントロールを手動にして微速で動かしてもらい、Belleの台座に貼られた物差し(四段目左)を測量器で覗いておよその停止位置に来たらジャッキを止めてもらう。どうせ手動のジャッキで位置合わせするのでここではcmの精度であっていれば十分。すぐさま固定用の板を地面に固定し、それと台車の間にジャッキをかけて仮固定する(四段目右)。
ここで、ロールインは一応終了。12時過ぎだった。

ロールイン準備作業 (6)

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ロールイン前日はロールイン後の作業をしてくれる業者によるロールイン後の作業の準備も始まり、ロールインの準備と並行して作業が行われた。
測量の人もBelle側と加速器側と2チーム入っていてそれぞれに準備作業があった。
B3やB1のあたりでは、広報チームとDWANGOの人がニコ生中継の準備。今、Belleのまわりにはおびただしい数のカメラが設置されている。
一応準備は終わって、明日を待つのみとなった。Belleには宣伝用の社章が貼られることになった。
私はロールインよりその直後の作業の方が100倍心配なのだが。

ロールイン準備作業 (5)

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休日出勤してロールインの準備作業の続き。今日は色々と取り外したものの搬出。クレーンとトラックを雇うので日の自由が効かないから雨でもやらざるを得ない。
KEKは桜が満開一歩手前というところ。筑波実験棟の前の桜も大変綺麗に咲いている。
周回道路を走っていたら雄の雉が二羽じゃれていた。右下はヒヨドリだと思われる。

月曜日はロールインした後の作業のための機材搬入。

Belle2完成?

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NHKによるとBelle2は完成したらしい。
完成したという記事のニュース映像に前方エンドキャップが入っていない未完成な部分が使われるというのが何とも皮肉。

ロールイン準備作業 (4)

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引き続き午後はロールインのテスト。実際にBelle2を引いてみる。
最初にBelleを固定している板を取り外す(一段目左)。一段目右の写真はワイヤーをかけたところ。太いワイヤーを二本アンカーの回りにかけてそれを30t位のシャックルで受け、張力計を挟んでジャッキへつなぐ。
後は、ジャッキの油圧装置(二段目左)をオペレートすれば動く。ジャッキの力は最大70tなので動かないという不安は全く無い。ジャッキにかかる負荷と張力計を見ながら油圧をあげていくとあっけなく動き出す。ジャッキの能力的にはもっと早く動くのだが、Belle2は橋脚では無いので振動などを鑑みて極力ゆっくりになるよう設定してもらっている。何度か止めながらジャッキのストローク一回分と少し動かしてテストは終了。
張力計はPeakHoldされるのでその値を見ると6.63t(二段目右)。前回ロールアウトしたときは7t位だったのでほぼ同じ。
動かしたまま置いておくわけにもいかないので、固定できるところまで戻す。戻すために結構大げさな道具も用意していたのだがそういうのは使わず、逸走防止につないでいた3.5tのTilFor二台(全後方一台ずつ)で引っ張って動かせた(三段目左)。
戻したらすぐさま固定用の鉄板をネジ止めしてBelle2を動かないようにする(三段目右)。戻し方が足りなかったのでネジが1/4位しか入らなかった。地震が来たら不安。強くお願いしてもう少し戻してもらえば良かった。
四段目左は移動量の目安にしていた線で大体50cm位のところにBelle2はいる。結局70-80cm位動かして20-30cmくらいもどしたという感じ。四段目右はB2の橋のところで動かした分ずれている。
動くのは確認できたので、Belle2はロールアウト実施日までこのままの位置で固定。明日からは後回しにしていた共通架台の解体、運び出しや、ロールイン後の作業のための資材搬入などを行う。

ロールイン準備作業 (3)

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ロールインの準備作業は今日が山場。
最初はエンドヨーク閉め。
長いことあけてあったので足場がいくつもEndyokeに固定されていて外し忘れて閉めようとしたり、ケーブルの養生が足りなくて困ったりしたが、何とか午前中に閉めることができた。
写真の左上は後方、右上は前方を閉めているところ。エンドヨークを動かすのが人力なのはよく知られているが、大体ハンドルを1000回くらい回すとしまる。私は各所200回ずつくらいは回したので、一枚分くらいは動かした。なので、今、若干筋肉が張っている。
下の写真を見て前方か後方か当てられたらかなりの通だが、左が前方、右が後方。煙突が写っているので簡単に見分けがつく。

ロールイン準備作業 (2)

belle17042.jpg
今日の作業はまずロールインのときに使う駆動装置類の搬入。
左上の写真が今回Belle2を引っ張るオックスジャッキ製ダブルツインジャッキ。これらを搬入して帰りのクレーンで昨日外した共通架台の部材を運び出すというのを繰り返す。
右上の写真はエレキハットの階段を外しているところ。外してB3の回廊に縛り付けて仮置きしておく。これでエレキハットの中に入る術は無くなった(屋上には別の通路から行ける)。
午後は共通架台の移動と解体(左下)。これと同時にビームライン側ではジャッキを取り付ける架台が組み立てられ、ジャッキが動く状態になった(右下)。
この他にも、Belle2側と加速器側を分けていたフェンスを取り払う作業や、Belle2が動くことによる床の動きを測量するための機器の準備などが同時に行われていた。
やることが多いと思っていたが、順調に仕事は進んで、明日は朝からヨークを閉めて、午後からロールイン試験。

2010ロールアウトの動画


4月11日のBelle2ロールインの特設サイトには『予習しよう』と書かれていて思わせぶりな項目があるのだが(準備中)とあるだけで何もない。
もうロールインまで一週間を切っているのに予習する材料が無いのも何なので、2010にロールアウトしたときに私が作った動画を載せてみた。
720pで6fps。10秒に一枚写真を撮っていたので動画の1秒が1分に相当する。
ロールアウト時の移動は取り外してしまった油圧モーターだったので60cm/min位。途中二度停止して測量をしているがそれでも1時間位で移動自体は終わっている。
すぐにエンドヨークを開いて記念撮影。

ロールイン準備作業 (1)

belle17041.jpg
新年度になって早速、ロールインの準備作業が始まっている。
同時にいろいろな作業が行われているので駐車場に車がいっぱい止まっている。
左上は、前方の共通架台の撤去作業。明日中には全部無くなってBelleの前がクリーンになる予定。
右上はエレキハットの空調用の冷却水の配管を外している所。Belle側のフランジで外して蓋をしておく。ロールイン後はこの位置にロールイン位置用のフランジがくるのでそこに付け替える。
左下はBelleと壁の分電盤をつないでいる電力の線。Belle側の分電盤のところで切り離されて置いてある。前にロールイン、ロールアウトしたときにはつないだまま引きずったのだが、キレイに裁くため今回は切り離したそうだ。
この他にもエレキハットからでているネットワークの光ファイバーを橋のところで切り離す作業とか、放射線管理区域の境界のフェンスを付け替える準備作業とか、様々な作業が行われている。
作業をしていたら広報の人がビデオを撮っていたので見に行ったら小林誠さんだった。ロールインイベントにビデオ出演されるらしいのでその撮影だったようだ(右下)。

ロールインをイベント化することには私は強く反対していたのだが、私の意見は通る訳もなく、大々的に行われることになったようだ。KEKのweb siteにロールイン生中継イベントの特設サイトが出来ている。

後方EKLM交換作業 (3)

belle17036.jpg
昨日やりのこしたB側のガイドの取り付け。
屋上に置かれているラックの背面にアクセスするために増設された床が邪魔で、一旦斜めにして挿入するという、非常にトリッキーな取り付け方を強いられる。
無事取り付けが完了して一応作業は終了。
明日エレキハットの電源が落とされ、ロールインへの準備が本格的に始まることになる。
プロフィール

light higgs

Author:light higgs
KEK(高エネルギー加速器研究機構)@つくば市でBelle2という実験をやっている。
自称『日本最低の物理屋』。
『円眞堂』(えんしんどう、本当は圓眞堂)は父の屋号です。写真のぬいぐるみについてはこのエントリ参照のこと

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