前方Endcapカロリメター筑波へ移送

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ロールインして筑波のB4の床が広くなったのでさっそく富士からForward Endcap を移送した。
運ぶものが重い(7-8t)ということを除いては大して難しくもない作業なので、特に問題なく進んだ。
トラックに載せて移送している時に筑波山を背景に写真を撮ろうと頑張ったのだが今ひとついい写真が撮れなかった。
カロリメター本体を運んだ後は、ケーブルとか、治具を運び、富士と筑波を合計2往復。私が責任者ということで、無駄無く作業を進めたので、1時に始めた作業が4時には終わった。
無事終わってめでたい。明日は乾燥空気の配管。

万力

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筑波のB4の隅にドリルプレス(ボール盤)とバンドソー(帯鋸)と卓上丸鋸(マイターソー)が置いてあって簡単な工作が出きるようになっている。私もたまにアルミ板を切ったり穴を開けたりするのだが、ヤスリも置いてないのでバリ取りも出来なくて不便だった。
で、買ったのが万力(バイス)。それなりの力で締められて、十分な強度で台に固定されるものというので探して買った、15cmのもの。モノタロウで1.2万くらい。鋳物の鉄で出来ていてとても重い。
とりあえず、ドリルプレスの横に設置した(ロールイン前にB4を整理したドサクサにまぎれて持ってきた)作業台に置いておいたのだが、使えるように固定してきた。
最初はそこらに転がっている金属用のドリルで開けようと思ったのだが、手持ちのドリルには10mmまでしかくわえられなくて断念。私物の工具をあさると15mmのフォスナービットが出てきたので、それをドリルガイドに取り付けて何とか穴は開けられた。KEKにはあまり木材加工用の工具は無くて、少し不満。
左下は強固に固定された万力。
アルミのLアングルを加工する機会があったので、帯鋸で切った断面を、ヤスリでバリ取りしてみた(右下)。非常に快適に出来て良い。

エンドヨーク閉まる

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今日は午前中は昨日やり残した後方側のエンドキャップ引き出し装置下部の取り外し。昨日前方をやったので少し慣れたが、それでも、非常に困難な作業なのは間違いない。
左下は架橋に当たるギリギリまで寄せて上げようとしているところ。右上は作業中のクレーンのフックの様子。エンドヨークのガイドがクレーンの邪魔をしているのがわかるだろうか。これをよけながらQCSに当たらないように吊ろうとすると、余裕は5㎝くらいしかない。
何とか約束の午前中に引き出し装置の取り外しは終わり、午後からはエンドヨークを閉じる。
QCSが前進した状態で閉じるのは初めてなのでクリアランスのきついあたりを見ていたのだが、途中厳しいところがあって1㎝くらいしか隙間がなかった気がする。そこは閉じてしまえば隙間の大きいところなので、あやまってケーブルをつけたりすると痛い目にあいそうだった。
左下の写真は後方B側のヨークが閉じたところ。図面で見ているのと同じようにQCSが収まっている。右下はヨークが閉じた後方側。ようやくかつてよく見た状態に戻ってきている。
明日からはBelleソレノイドが励磁される。

Endcap引き出し装置撤去作業

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鉛シールドの取り付け試験は終わったので、ソレノイド励磁に向け、Endcap 引き出し装置を撤去していく。
最初に昨日つけた半月板、次に引き出し装置上部(左上)。とりあえず狭いので作業性は最悪。クレーンの動きがとてもトリッキーで疲れる。何とか午前中に前後方四台分はずし終えて、保管場所に並べるところまで行った(右上)。
私はクレーンを操作しているので、普段は写真をとるために作業を止めたりするのだが、時間の余裕が無いのでそういう訳にもいかず、写真が少ない。
午後からは引き出し装置下部(左下)。上部より大きいのでさらに大変。QCSに当たらないようゆっくりと、立体パズルのようにかわしながら運び出す。あまりにギリギリを通すので、監視カメラで見ていた電磁石グループの人が心配になって見にきた。それでも、前方の二台分を取り外して保管場所に並べるところまできた。
明日、午前中に後方の分を外せば午後にヨークを閉められるだろう。何とか間に合う気がしてきた。

後方鉛シールド取り付け試験

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先日送られてきた鉛シールド、後方側は今引き出し装置がついているので、取り付けの試験が出来る。なので、引き出し装置の取り外しを一日延期して取り付けのテストをすることにした。
最初に半月板を取り付け(左上)、半割りにしたシールドに茶色い治具をつけてクレーンで吊り(右上)、半月板に取り付ける(左下)。と書いてしまえば簡単そうだが、障害物が多いので作業は大変。片側つけたところで時間が無くなったので、半分で撤退することにした。穴の位置を確認するために引き出し装置を前進したところが右下の写真。半割りになっているシールドのつなぎ目部分はセンターに来ないといけないのだが2cm位左によっている。当然ながら穴はあわない。
どこかの寸法を間違ったということだろう。
設計したのが誰かは知らないが、あまりにセンスの無い設計。というのも、すべては『正確』に作られているようで、穴に余裕が無いし、位置の調整機構もない。鉛を使っているので結構な重量物のわりには吊り方が考慮されてないし、失敗するべくして失敗したという感じ。
ここから学び取って次はもう少しましなものを作っていただきたいところ。
あまり、時間をかけていると、予定どおりにヨークを閉められないので直ちに取り外した。
明日から引き出し装置の取り外し作業。

第7回高エネルギー物理春の学校 2017 @ 北小松

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今年で7回目の高エネルギー物理春の学校が無事終わった。
幹事をやってたのであまり余裕がなくてえらく疲れたが、大きな問題もなかったので良かった。
集合写真を見てもわかるように天気が良く、それほど暑くもなく、窓を開けてさわやかな空気の中セッションを持てた。参加してくれた学生皆さんの日頃の行いのおかげだろう。
今回は新しい試みとして過去に賞をとったOBの二人を招待して講演してもらったのだが、二人ともとても良い内容で、感心した。こうやって、過去に参加した学生が立派になっているのを見るとやっていてよかったと思う。
右下の写真は今回受賞された皆さんで、中央にいる賞金のスポンサーの右側にいるのが最優秀賞をとった東工大の学生さん。ニュートリノの物理を修士の学生とは思えないくらいよく理解していて感心。
会場のびわこクラブの人もとても良くしてくれて助かる。例年同様にやってくださいというと大概のことはうまくいくので幹事の仕事がとても楽。
帰り際に来年の予約をしてきたので、来年の日程はもはや決定。何もなければ5月17-19日に開催される。
今回来てくれた中にリピーターは数人だったのだが、もう少し上級生が増えてくれると助かるので、今回参加した人にまた来て欲しい。

高エネルギー物理春の学校2017の準備

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先週の後半からはずっと春の学校の準備に追われていた。
開催場所は滋賀県なので道具の類は送らざるを得ない。前日までに確実に着くようにすると今日出すのが安全。で、持って行くものを用意していた。
軽い物は最悪手で持っていけばいいので、パソコン、Wifi、電源タップ、それにプリント類。名札、領収書、プログラム、アンケート、投票用紙等をプリントして何とかギリギリ間に合い、クロネコヤマトの人に引き取られていった。これでもう重いものは持っていけない。
これとは別に、ブレイクの時に出すスナックや飲み物の類を現場に送ってもらうように注文したりと、忙しい。
スライドのアップロードを参加者に頼もうとemailを書いていて、自分で手順を再現してみるとうまく行かない。嫌な予感はしていたのだが、用意していたサイトでは参加者によるアップロードが禁止されている事に気づいた。管理者がすべてをやれということらしいが、ポスターも合わせると60以上ある講演をすべて私が集めてアップロードするなんて絶対にできない。しょうがないのでうんざりするが別のサーバーにもう一度プログラムを登録する。
計算機センターに勧められて使ったのだが、失敗だった。

ECL鉛シールド荷受

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エンドキャップECLとQCSの間の隙間に入れて放射線を止める鉛シールド。昔使っていたものは外すなり捨ててしまったのだが、Belle2では、大きさはそのままに鉛とポリエチレンの二重構造にすることになった。カナダが担当ということで製作して送られてきたのが今日届いた。こっちの担当は私では無いのだが重いもの担当なので荷受けを手伝う。
箱に入って届くと思ったらパレットに乗ったむき出しの状態で少々驚いた(左上)。これならフォークの方が簡単だろうということでフォークリフトで降ろしたのだが、私の運転がへたすぎて若干怖かった。
とりあえず搬入口の床においてクレーンで下に降ろす。右上の写真が前方用。これを吊るのが一苦労で、パレットのまま吊ろうと思ったら、パレットがボロボロ過ぎて怖くて吊れない。次にシールドのみを吊ろうとしたら連結部分がヤワで壊れそうだったのでこれも断念。結局元に戻して、パレットに足場パイプを入れて吊る事になった。
B4では吊り上げてビシャモンに載せ替え(左下)、所定の位置に置く(右下)。
右下の写真のシールドの内側の薄紫に見える部分が中性子用のポリエチレン部分。
取り付けのテストをやりたいらしいのだが、後方は気合があれば出来無くはないのだが、日程がちょっと難しい。

b→sll anomaly 研究会 @ 東大

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LHCbから最近発表された B->K*ll で Lepton Universality が破れている?という発表に関して行われた研究会。LHCつながりということでなぜか東大のATLASの人の主催。
発表のスライドを見て軽く論文を読んでいたのだが、今一つ理解できてなかったが大体どういうことなのかは分かった。
問題のAnomalyだが、B->K*ll event の q2 の小さいところ、J/Psi より下の領域のイベント数をmuon と electron で比べると muon の方が有意に少ないという。実は2014年には B->Kll で同じ解析が行われていて同じように muon が少ない。SMでは、質量以外にleptonの種類を区別しないので、基本的に崩壊比(event数)は同じになるはずなのだが、なってないので lepton universality が破れている。なら、新物理があるはずだ!ということらしい。
発表を見ていると突っ込みどころは満載で、muon channelのq2分布がそもそも理論と全然あってなくてq2の低いところでは理論の予想よりとても少ない。次に electron channelはイベント数が少ないということで q2 分布を見せていないから、同じようにあってないのか確認できない。予想より多いと書かれているだけで情報がないし、そもそも統計誤差が大きいのではっきりしたことは言えない。
まとめると、単にmuonが少ないという状況で、統計的にはっきりしない electronと比べ lepton universality が破れていると空騒ぎしているという印象。
統計の多いmuon channelの様々なモードのすべてで q2 分布の低いところが予想より少ないので、ある意味 consistentなのだが、それが物理なのか検出器なのかはよくわからない。普通に考えると検出器の効果をうまく見積もれていないということだろう。
これを説明する理論の話もあったのだが、あまり、世の中にご利益を与えそうなものはなかった。
Belle2でこのanomalyに関して何か意味のある解析ができるようになるのは3-4年かかるので、取り敢えずはLHCbの統計を上げた結果を待つことになるわけだが、muonの方の結果は変わらないだろう。

共同通信に記事が載った。ほとんど内容がないがあのグダグダな研究会を見たらこの程度の記事しか書けないだろう。

QCS前進も磁場測定装置当たる

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連休明けの今日から磁場センサーのついたQCSを運転位置まで前進させる作業。
特にやることは無いはずなので見物に行ったのだが、ひどい目に合った。

上段左の写真は磁場センサーのついたQCSR(前方側)。先端部にごちゃごちゃついているのがBelleがつけた磁場センサー。ビームパイプのように伸びている金色の管は加速器の人がホールセンサーを通すための穴。
上段右の写真が前進している所。
ある程度までは電動で前進させるのだが前方側はクリアランスが非常にタイトというので見ていると、入りそうな気がしない。
中段左の写真で上の方に見えている銀色の構造物はBelle側についていて、下側の磁場センサーのコネクターが当たってしまっている。外してしまうとそのセンサーは読めなくなってしまうのだが、入らないのでは仕方ないので、コネクタを外してしまう。ここは何とか入ったのだが、他にも同様にきついところが何か所もあって途中で断念。
引き出してみると至る所に当たっているところがある。中段右の写真はコネクタ部分が当たってしまいケーブルが断線したところ。芋づる式につながっているのでこのままでは全チャンネル読めない。下段左はコネクタ部で壊れてしまった磁場センサー。一応四人で見守っていたのだが、当たるところが多すぎて防ぎようがなかった。
この他にも構造物が当たってしまったり、ケーブルが通らないように配置されていたりと、すがすがしいまでのダメさ加減。
仕方なく一旦撤退。壊れたケーブルを直してもらい、当たってしまう構造物は何とか外し、ケーブルをギリギリ通りそうなところに配置して再挑戦。
ファイバースコープでケーブルが押しつぶされないか確認しながら前進させて何とか所定の位置まできた(下段右)。
QCSは物理的には入った。前方部とバレル部のケーブルは読めなくなっている可能性があるので、すぐに磁場測定装置が動くのか確認したいのだが、驚くべき事に、磁場測定装置の人が誰もKEKにいない。こんな微妙なところに検出器をinstallするのに現場に人をおかないなんてちょっと信じられないが、もはやどうしょうもない。
ドイツの人と連絡を取ってやり方を教えてもらい今晩テストするそうだが果たしてうまく行くか?
壊れていた場合明日の朝一度だけ直すチャンスがある。それを逃すとせっかく用意したセンサーが無駄になる。

測定器開発優秀修士論文賞2017最終選考会議

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一次審査から7編の論文が二次選考に残り、9人の審査員で審査していた論文賞だが、1日に採点を締め切り今日最終選考会が行われた。
私は幹事なので審査員の皆さんの採点を集計して、選考の資料を作る。一応我々は物理屋なので、採点者の点数のバイアスや得点のばらつき具合を補正するよう統計処理をしたりもするのだが、そういうことをしなくても良いくらい、審査員間の点数のcorrelationも良く、特に問題なくすんなりと受賞論文が決まった。
昨年は私の採点とほかの審査員の先生の採点が全然違って愕然としたのだが、今年はそういうこともなく、安心した。
今回受賞された二編はどちらも、実験グループで使う検出器の一部分の開発で、それほど新しい検出器ではないのだが、緻密に研究されていて、論文としての完成度が高かった。
二次に残った論文の中には新しいアイディアに基づいた興味深い論文もあったのだが、新しさゆえにか、今一つ本質的理解ができていないようで、受賞には至らなかった。
今発表の準備をしているところで、連休明けには発表される予定となっている。
プロフィール

light higgs

Author:light higgs
KEK(高エネルギー加速器研究機構)@つくば市でBelle2という実験をやっている。
自称『日本最低の物理屋』。
『円眞堂』(えんしんどう、本当は圓眞堂)は父の屋号です。写真のぬいぐるみについてはこのエントリ参照のこと

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