セミナー GEMを使った中性子3Dイメージング

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昨日あった測定器開発室セミナーの備忘録。
講師は北大の工学部の方で材料関連。中性子を使って材料を分析する研究。中性子を検出する検出器にGEMを使う。この検出器部分はKEK測定器開発室で開発したものだと思われる。
原理としてはパルスの白色中性子を材料に打ち込み時間情報を持った2D検出器で透過中性子を検出。パルスビームだと検出時間(ToF)は中性子のエネルギーなので、試料の有り無しで比較すれば、各点毎に透過率とエネルギーの関係が測れる。その分布に金属の結晶構造からくるいわゆるブラッグの干渉パターンが現れるので、既知の金属のパターンとフィットして金属の組成や結晶の大きさが2Dで分かる。つまりイメージングできる。というのが原理。
検出器は4種類紹介されて、Liシンチ+MAPMTのもの、He3+uPIC、ボロンを塗布したGEM、中性子に感度のあるMCP。大体1mmから100umくらいの読み出しピッチで10cmx10cm程度、計数率は10^4 n/cm^2/s程度。
件のGEM検出器は 両面にボロンを塗布したGain 1のGEM二層+ガス増幅用のGEM一層に800umピッチのXYストリップ読み出し。これをおそらくBelle2 CDC用のものを元に開発された読み出し装置で読む。800umピッチで10cmなので大体XYそれぞれ120chとなる。GEM自体はO(10ns)程度の信号なので10^6位のヒットレートなら何とかなるのかもしれないが、読み出しの方が律速しているそうだ。時間情報を何ビットとるのか知らないが1event 32bitとすると、10^4だと100cm^2なので10^6x32bitで32Mbps。100Mbitのネットワークだと10^4程度が限界なのが分かる。
実験結果をいろいろ見せてもらったがなかなか興味深いし、医学の方面にも応用できそうな技術。
可能な性能向上としては解像度と計数率。解像度はとりあえず読み出しピッチを細かくして、アナログ情報から重心演算などすればよくなるだろう。計数率はプリアンプの時定数とか、信号処理の速度とかということになるだろうか?読み出しピッチを200umにして、10Gbpsで読み出せば10^6位までは行けるだろう。
誰か学生さんが1-2年くらいOpen-Itで頑張ればできそうな気がする。
そういう検出器の開発を材料の人はやらないのかと聞いたら、まったくやらないのだそうだ。我々の業界にいると研究のための測定器は自分で作るというのが当たり前なのだが、分野が違うとそういう考えは無いらしく検出器は『先生に作っていただく』ものなんだそうだ。もったいない。

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light higgs

Author:light higgs
KEK(高エネルギー加速器研究機構)@つくば市でBelle2という実験をやっている。
自称『日本最低の物理屋』。
『円眞堂』(えんしんどう、本当は圓眞堂)は父の屋号です。写真のぬいぐるみについてはこのエントリ参照のこと

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