物理セミナー 南半球での暗黒物質探索

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今日の物理セミナーは南半球で行う暗黒物質探索の話。speakerはMerbourneの方でBelle2のCollaboratorでもある。
Dark Matterの直接探索にはいろいろあるのだが、これはいろいろ物議を醸しているDAMA実験を同じNaI結晶を使って南半球でやろうという実験。
DAMAはNaI結晶でDark MatterによるNuclear Recoilを見ているわけだが、直接見えてる訳ではなくて、いわゆるAnnual Modulation(年次変化、季節変動)と言うのをDMの証拠だと言っている。この季節変動だが、DMは天の川銀河の重力に捉われていて、銀河の回転に従って回転しているが、地球は太陽の周りを回っている。なので、銀河に対しては一年周期で速度が変わる。この速度変化によりRecoil Energyの分布が変わるので6月頃にevent rateが最大に、12月頃に最小になり、この変動をDAMAは9sigmaで観測したといっている。しかし、一年周期の季節変動というのはDMだけでは無く色々なものがするので、これだけでDMだと信じろといわれても厳しい。
そこで南半球なのだが、地球の公転は北でも南でも関係ないのでDMにより季節変動は同じように起きるが、気候変動によるものなら、北半球のDAMAとは逆位相になるはずというのが実験の肝となっている。
実験が出来るかどうかは低backgroundなNaI結晶を作れるかどうかにかかっているのだが、DAMAの結晶を作ったサンゴバンは、DAMA以外には売らず、製法も秘密にしているそうで、物理屋は困っていたわけだが、それも作れる見込みがたったそうだ。結晶さえできてしまえば、地下実験の要領は分かっているので問題は無い。右の絵が実験装置で、結晶の周りを液体シンチレーターで囲い、Kからの3 keVバックグラウンドを積極的に除去するそうだ。実験装置は同じものがイタリアとオーストラリアに置かれる。50kg位の結晶を作って2017年から実験を開始すると、3年でDAMAの結果を再現できるらしい。
なかなかいい実験だと思うが、DAMAの人達も、結晶を独り占めするなら、自分たちで南半球でもやれば良かったのにと思ってしまう。
例によって参加者が少ないのだが、日本の実験屋は私だけだったのではないだろうか? セミナー係の人にも今ひとつ熱意を感じられなくて、セミナー中ずっとラップトップに向かって別の仕事をしていたくらいだから、さもありなんという感じ。

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light higgs

Author:light higgs
KEK(高エネルギー加速器研究機構)@つくば市でBelle2という実験をやっている。
自称『日本最低の物理屋』。
『円眞堂』(えんしんどう、本当は圓眞堂)は父の屋号です。写真のぬいぐるみについてはこのエントリ参照のこと

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