b→sll anomaly 研究会 @ 東大

tky17051.jpg
LHCbから最近発表された B->K*ll で Lepton Universality が破れている?という発表に関して行われた研究会。LHCつながりということでなぜか東大のATLASの人の主催。
発表のスライドを見て軽く論文を読んでいたのだが、今一つ理解できてなかったが大体どういうことなのかは分かった。
問題のAnomalyだが、B->K*ll event の q2 の小さいところ、J/Psi より下の領域のイベント数をmuon と electron で比べると muon の方が有意に少ないという。実は2014年には B->Kll で同じ解析が行われていて同じように muon が少ない。SMでは、質量以外にleptonの種類を区別しないので、基本的に崩壊比(event数)は同じになるはずなのだが、なってないので lepton universality が破れている。なら、新物理があるはずだ!ということらしい。
発表を見ていると突っ込みどころは満載で、muon channelのq2分布がそもそも理論と全然あってなくてq2の低いところでは理論の予想よりとても少ない。次に electron channelはイベント数が少ないということで q2 分布を見せていないから、同じようにあってないのか確認できない。予想より多いと書かれているだけで情報がないし、そもそも統計誤差が大きいのではっきりしたことは言えない。
まとめると、単にmuonが少ないという状況で、統計的にはっきりしない electronと比べ lepton universality が破れていると空騒ぎしているという印象。
統計の多いmuon channelの様々なモードのすべてで q2 分布の低いところが予想より少ないので、ある意味 consistentなのだが、それが物理なのか検出器なのかはよくわからない。普通に考えると検出器の効果をうまく見積もれていないということだろう。
これを説明する理論の話もあったのだが、あまり、世の中にご利益を与えそうなものはなかった。
Belle2でこのanomalyに関して何か意味のある解析ができるようになるのは3-4年かかるので、取り敢えずはLHCbの統計を上げた結果を待つことになるわけだが、muonの方の結果は変わらないだろう。

共同通信に記事が載った。ほとんど内容がないがあのグダグダな研究会を見たらこの程度の記事しか書けないだろう。

コメント

非公開コメント

プロフィール

light higgs

Author:light higgs
KEK(高エネルギー加速器研究機構)@つくば市でBelle2という実験をやっている。
自称『日本最低の物理屋』。
『円眞堂』(えんしんどう、本当は圓眞堂)は父の屋号です。写真のぬいぐるみについてはこのエントリ参照のこと

最新記事
カテゴリ
月別アーカイブ
最新コメント
検索フォーム
リンク